- 今、見つめたい歴史 遊郭 儚き世界
これまで江戸の吉原に代表される形で紹介されてきた「遊郭」という場所──。
しかし今、遊郭は単なる遊興の文化としてだけでなく日本の歴史を知るための重要なテーマとして注目を集めている。
その歴史とは?
足利義満時代に東洞院七条下ル処に形成された傾城町。吉野、大橋、八千代太夫などの名妓を生んだ京の都を訪ねる京都の章。
天下の台所・大坂にあった幕府公認の新町遊郭などの多くの遊里。遊女の悲哀を物語にした近松門左衛門をはじめとした作家たちにスポットを当てる大坂の章。
続く、伊勢の章。江戸庶民たちが祈念した一生に一度のお伊勢参り。神宮の内宮と外宮を結ぶ伊勢古市参宮街道の一大歓楽街としてあったその聖と俗の姿を今に伝える。
吉原の章では、「生まれては苦界、死しては浄閑寺」と詠まれた新吉原の遊女たち。華やかさの裏で、彼女たちは何を思い生きたのか、その足跡をたどる。
長崎丸山遊郭を舞台にした『蝶のみちゆき』を紹介する長崎の章。廓に生きる絶世の遊女・几帳の生き様と、彼女の愛の形を描いた名作である。作者・高浜寛さんに制作秘話を聞いた。
また、京都・島原にただ一軒残る置屋「輪違屋」と如月太夫への貴重な取材。
落語の「廓噺」、樋口一葉と名著「たけくらべ」についても紹介する。
中世の遊女から遊郭の成立、そしてその終焉までかつて遊郭に生きた女性たちに思いを馳せながら、今こそ、その光と影の歴史を見つめたい。
遊女とはどのような存在であったか? いつからその職業が生まれていたのか? 文献上の記録としては、奈良時代の『万葉集』にもその姿が多数記されている。
江戸時代は東海道に次ぐ賑やかさで、多くの物資と情報が行き交った伊勢街道。街道の最終地点にあたる外宮と内宮を結ぶ約4.5kmの道のりが伊勢古市参宮街道と呼ばれた。
CONTENTS
1 表紙
3 時を超えるArt
5 目次
6 <序章>遊郭、その光と影 遊郭の成立から終焉まで
8 今、伝えたい女性たちの記憶 遊郭 儚き世界
10 [古代]『万葉集』の遊行女婦とは?
12 西行法師と江口の君
16 [中世]遊女の取締と傾城町「九条の里」
18 一休と地獄太夫の伝説
20 [近世]安土桃山時代 初の本格的遊郭の成立
22 [近世]江戸時代初期─後期 江戸幕府と吉原黎明期
26 表の絢爛、裏の闇
31 日本最古の傾城町から花街へ、悠遠の歴史 京都の章
32 寛永三名妓 吉野太夫を訪ねて
36 島原にただ一軒残る置屋 輪違屋
40 凛として美しき、その眼差し 如月太夫
49 人情の街を舞台にした遊女の悲恋 大坂の章
50 近松門左衛門と世話浄瑠璃の世界とは?
54 遊女お初と徳兵衛、愛し合う二人の悲劇 曾根崎心中
56 物語の舞台を訪ねて 曾根崎村と露天神社(お初天神)
58 遊女を愛する治兵衛と妻の苦悩 心中天の網島
60 放蕩を尽くした与兵衛の末路 女殺油地獄
61 遊女の前で金のことを暴露された忠兵衛 冥途の飛脚
62 夕霧太夫を偲んで
64 お伊勢参りと精進落とし 伊勢の章 日本三大遊郭、古市遊郭跡を往く
71 遊女たちの生涯に思いを馳せて 吉原の章
72 家康の時代から始まった歴史 元吉原から新吉原へ
74 時代の波間に消えた江戸の遊郭 吉原の面影を探して
82 三遊亭遊七さんが語る「廓噺」 落語の中に生きる吉原
86 [近代]明治時代 吉原の廓に生きる少女と青年の淡い恋 たけくらべ
88 明治東京を生きた一葉の眼差し
90 [現代]昭和時代 戦後の日本と売春防止法
92 聞き語り 京街道の宿場町、明治以降の旧遊郭街……長い歴史を経て 橋本の思い出
96 異邦人たちが訪れた五代遊郭 長崎の章 Special Interview 『蝶のみちゆき』 作者 高浜 寛
100 長崎丸山遊郭 ──愛と金を巡る物語
104 語り継がれなかった 徳川近代
108 続 誰も知らない江戸の奇才
112 英雄好みの粋な老舗
114 時空旅人シリーズ 告知
116 厳選グッズ通販 時空旅人SELECT SHOP
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