- DREAMER
時代を映し出すモード, ハイファッションの最前線をフィーチャーするフォトグラフィマガジン, SWAG HOMMESのISSUE14がローンチ。
最新号のテーマは, “DREAMER”。パリを舞台に撮影を敢行した故ヴァージル ・アブローによるルイ・ヴィトンSS22をフィーチャーしたカバー&エディトリアル, メゾン マルジェラ, ドリス ヴァン ノッテン, エルメス, コム デ ギャルソン・オム プリュス, プラダ, セリーヌ オム, フェンディなどの色彩豊かな最新コレクションを個性溢れる黒人たちが華麗に纏う巻頭特集。
グッチ, ジバンシィ, バレンシアガ, サンローラン, ヴィヴィアン・ウエストウッドなどのファッションストーリー。ファッション界の新たなスター, Y/プロジェクトのグレン・マーティンスによる新生ディーゼル。
78年のパリデビュー以降, 世界的なダンサー, 舞踊家, 近年では俳優としても著名である田中泯に, 気鋭の映像作家にして写真家の山田智和が挑んだY-3の最新エディトリアル,ロンドンをベースに各地のファッションウィークでリアルなストリートを撮り続けるYu Fujiwaraによるパリ, ロンドンのストリートファッションスナップ他, 国内外の豪華クリエイターを迎え, ハイクオリティ紙を採用したオールカラー212頁。
また, シンガー, ダンサー, 俳優にして, GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーでもある片寄涼太, ラッパーのLEX, JP THE WAVY, モデルの高橋ララ, 多国籍ミクスチャーバンド, ALIのヴォーカリストを務める今村怜央, ハリウッドに進出後, グローバルな活躍を見せる俳優の忽那汐里, 映画「全裸監督」や連続テレビ小説「おかえりモネ」で注目を集める俳優の森田望智らがファッションモデルとして登場する。
“モードとヒップホップ,
そして, ヴァージルたちの飽くなき夢に僕らの想いも重ねて”
昨年末のことだった。
2021年11月28日, ヴァージル(・アブロー)が急逝した。ラグジュアリーストリー トという新たなシーンを牽引してきたオフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー?のチーフ クリエイティブ ディレクター兼ファウンダー, ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック ディレクターとして, また様々な企業やブランドとの協業において数々のプロダクトを生み出すなど, 隆盛を極める最中のことであっ た。
思えばちょうど, その10年前の2011年。ラグジュアリーストリートの着火剤ともなったヒップホップアルバム「Watch The Throne」がドロップされた。
「Ni**as in Paris」という衝撃的なタイトルのヒットチューンを含む, 業界のトップに君臨するラッパーのカニエ・ウェスト(現在は, Yeに改名)とジェイ・Zによる金字塔ともいえる, もはや伝説的な作品である。
音楽的な内容はさておき, この場で特筆すべき点は, ゴールドカラーを基調とした刺繍のような立体的なアルバムジャケットを, 当時のジバンシィのアーティス ティック ディレクターにして, メゾンサイドからラグジュアリーストリートを牽引してきたリカルド・ティッ シ(現在はバーバリーのチーフ クリエイティブ オフィサー)が手掛け, 大きな話題を呼んだことだ。
2011年度グラミー賞の最優秀レコーディングパッケージ賞にもノミネートされ, それまでのヒップホップ業界には存在しなかった芸術性と美学, そしてモダニズムによって新しい息吹と共に, モードとヒップ ホップ, つまりはラグジュアリーストリートの夜明けを感じさせてくれた。そして, その物語の影の立役者は, カニエのクリエイティブコンサルタントとして, ヴィジュアル面をバックアップしていたヴァージルだっ た。
あれから10年あまりの月日が流れ, 時代は大きく変わったものだ。
ヴァージルやカニエ, リカルド・ティッ シらによって始まった相反するモードとヒップホップ, あるいはラグジュアリーとストリートとの蜜月関係は瞬く間に成熟し, スタンダードカルチャーとして世界中に浸透するまでとなった。
まさに, ファッションは時代を映し出す鏡である。エスタブリッシュメント(西欧の貴族社会)が主導するモード, ラグジュアリーの世界と, その対極にある欧米のゲットー(貧困層)から生まれるヒップホップ, ストリートカル チャーの世界が交わったのだから……。
それは歴史的事件といっても過言ではないであろう。そして, それは人種や肌の色, 国籍, ジェンダーなど, マジョリティとマイノリティの壁が崩壊し始めたことを表明しているともいえるのだ。
僕らがユースだった頃, 昭和から平成へ, そして90年代に入り, まだアンダーグラウンドだったヒップホップやブラックカルチャーに強く憧れを抱いたことがきっかけとなり, その音楽やファッションを通したスタイルやアートフォーム, そして反骨精神やメッセージを伝えたく, 気が付けば僕らは編集者になっていました。
好奇心に身を任せ, 本場アメリカのヒップホップシーンを追いかけ, 東から西から南エリアまで各地のゲットーなストリートやナイトクラブに足を運び, リアルな現場を取材しては記事にしてきました。
若かりし頃のカニエやジェイ・Z, ビヨンセやリアーナをはじめとする数々のヒップホップアーティストと握手を交わす機会にも恵まれ, 彼らのようなたたき上げのヒップホップアーティストが成り上がっていくストーリーは, ダークサイドな側面も含めて, どんな小説や映画よりもワクワクドキドキさせてくれるほどスリリングであり, 希望に満ち溢れていました。
そして, その飽くなき夢と, 新たなる挑戦に僕らの想いも重ね, 2015年にSWAG HOMMESは誕生したのです。カバーは, リカルド・ティッシ率いるジバンシィ。パリのゲットーで撮影を敢行しました。
ファッションエリートの世界で通用するような肩書きもコネクションもない僕らに, ジバンシィをはじめオフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー?などのサポートがなかったら, SWAG HOMMESは存在しなかったでしょう。
ヴァージルが, ルイ・ヴィトンの1stコレクションショーの後にインスタグラムにポストした「You can do it too……(君にもできるさ)」という一文を, 今あらためて心に刻んで, 世界がどんな状況であろうとも未来へ向かい, 僕らも飽くなき夢をもって前に進み続けます。
SWAG HOMMES 編集長 奥澤 健太郎
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