- あなたの親や家族が築き上げてきた財産が狙われている!
意外なことに金融機関や身近にいる知人・親族による悪質行為が平然と行われている現実が。
こういうワルイ奴らから大切な人を守るための対策方法を収録。
CONTENTS
はじめに
お年寄りの財産を狙った悪質行為があとを絶ちません。
こうした悪質行為というと、みなさんは、新聞やテレビのニュースを騒がせている
「振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、還付金等詐欺等)」などの犯罪を真っ
先に思い浮かべるかと思います。
確かに、振り込め詐欺を含む「特殊詐欺」(面識のない不特定の人に対して、電話
その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振り込みその他の方法により、現金等を
騙し取る詐欺)の被害は大きく、その被害額は、毎年400億円近くになっています。
しかし、お年寄りをターゲットにした悪質行為は、振り込め詐欺などに限ったこと
ではありません。
本文の中で詳しく触れますが、テレビコマーシャルなどでよく見かける大手銀行や
生命保険会社、あるいは身近にいる知人や親族によっても行われています。「え?」
と驚かれるかもしれませんが、それが現実なのです。ニュースになるような事件は、
氷山の一角に過ぎません。
私は、司法書士という職業柄、認知症などにより判断能力が弱ってしまった方をサ
ポートする「成年後見人」として、日々お年寄りの財産管理に関わっています。そこ
で目の当たりにしたのは、とても多くのお年寄りが、こうした被害に遭っているとい
う現実です。老後の資金として貯めていたものを、ほとんど失ってしまったという話
も聞きます。
お年寄りがこれまで懸命に働いて築き上げた財産を、あらゆる人や団体が虎視眈
々と狙っているのです。
比較的ニュースとして取り上げられる訪問販売などの「悪質商法」や、振り込め詐
欺などの「特殊詐欺」については、警察や行政が、各種対策や広報活動に力を入れて
います。しかしながら、目に見えた成果が上がっているとはいい難い状況です。まさ
に、やりたい放題といっても過言ではありません。
一方、金融機関や身近な人による悪質行為については、被害を食い止めることがで
きているでしょうか。答えは「ノー」です。
表面上は「当事者間の合意」を装っていることが多く、表立って「事件」として認
識されることがないため、警察の介入もなく野放し状態となっているのです。
こうした現状を少しでも変えるために、私にも何かできることはないか? その想
いが本書の執筆に至った動機です。
私自身、一人で暮らす高齢の母親がいます。幸い私の母は、今はしっかりしており、
こうした被害には遭っていませんが、過去には自宅に振り込め詐欺と思われる不審な
電話がかかってきたり、怪しい人物が訪ねてきたりということもありました。
母は、このとき適切な対応をしたことにより、被害を受けることはありませんでし
たが、誰もがそのように対応できるわけではありません。それに母もこれから年を重
ねていく中で、ずっと適切な対応をし続けられるとは限りません。
こうした行為をする人間に対しては、私自身、激しい憤りを覚えますが、怒ってい
るだけでは何も変わりません。具体的な対策を講じる必要があります。
なお、本書では、こうした他人による財産侵害のほか、認知症のために「親の財産
を親のために使えない」といった、お年寄りの「財産凍結」によるトラブルが、もう
一つのテーマとなっています。
こちらも、いざ親のためにお金が必要なときに「銀行でお金を下ろせない」「家を
売れない」などが切実な問題となっていますが、残念ながら認知症によって本人の財
産が動かせなくなるといった事実も、世間ではあまり認知されていません。
本書では、これらの対策として、私が経験した実例をもとに、できる限り具体的に、
すぐに使える方法を記しました。法律の話も出てきますが、少しでも分かりやすく書
くように努めました。
ぜひ、本書を活用してあなたの大切な人を守ってください。
年老いた親が、今後、お金に関する「悲劇」に遭遇しないためには、あなたのサポー
トが絶対に必要です。
目 次
はじめに
第1章 司法書士は見た! 高齢者に忍び寄る負の事件簿
その1 知人・友人、見知らぬ人からお金を吸い取られていく……池田元子さんのケース
その2 姉が母親の預貯金を自由に使い、遺言書も作成 沢田祐子さんのケース
その3 親切な若い男性が現れ、養子縁組を結んだ男性が詐欺師だった 加藤シゲ子さんのケース
その4 信託銀行や保険会社に吸い取られる高齢者の資産 佐久間昇さんのケース
その5 病気の親に代わって、親のお金を引き出せない! 渡辺浩二さんのケース
その6 母親の遺産相続で、兄弟間でトラブル発生 太田美智子さんのケース
第2章 これで万全! 悪徳商法から身を守る方法
その1 親の健康状態をチェックする
その2 親子の関係を良好に保つ
その3 兄弟間の関係を改善する
その4 社会福祉協議会の「地域福祉権利擁護事業」を活用する
その5 親のメインバンクの暗証番号を聞いておく
その6 税金対策をしておく
その7 不動産の売却も視野に入れる
その8 高齢者にとって、信託銀行は利用価値はない
その9 親が認知症だった場合の対処法
その10 高額商品の返品は、クーリング・オフ制度を使う
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