- “2輪メーカーのホンダが、世界に認められる自動車メーカーを夢見てF1の開発を始めた当時、日本はパリ往復航空券の1/30しか初任給を払えない経済小国だった──”
高度経済成長期の日本。1964年に自由化されたばかりの海外旅行は、当時の市民にとって宇宙旅行くらいのイメージだったに違いない。その翌年の65年、若きホンダエンジニアだった筆者が初めてのF1を戦うため、本田宗一郎社長以下大勢の同僚による万歳唱和の声で見送られ、羽田からヨーロッパに飛ぶ。海外の情報が乏しい時代、異郷で目の当たりにする様々なカルチャーギャップに戸惑い、また魅了されながら勝利に向け奮闘した日々を綴った本書は、マクラーレン・ホンダとして再びF1チャレンジを始めた“後輩”たちへのエールとなり、またボーダーレス時代を生きる読者の皆さんにとって新鮮な驚きとして響くことだろう。
《著者プロフィール》
丸野冨士也(まるの ふじや)
1935年(昭和10年)2月16日、鹿児島県加世田市(現・南さつま市)出身
東京工業大学機械工学課程卒
1959年4月1日ホンダ入社。レーサー設計室に所属し、ベンリィC92スポーツタイプのエンジンをマン島用に改造、125cc、250ccとも勝利を収めた後、F1プロジェクトに参画。実験車RA270、デビューマシンRA271、メキシコで初勝利を飾ったRA272のエンジンとトランスミッションを担当する。
1965年前半をホンダF1チームの一員として1.5リッターのRA272とともにヨーロッパで過ごし、7月に帰国してからはN360、ライフなどを手掛ける。
1995年2月ホンダを退社、社友となって現在に至る。
目次
第01話 チェッカード・フラッグ
第02話 社長がお呼びです
第03話 オヤジヨロコブ
第04話 ゴールドメタリックのF1
第05話 羽田から北極周りでアムステルダムへ
第06話 オメガのストップウオッチ
第07話 オランダの自転車事情
第08話 バックヤード
第09話 アムステルダムから車でモナコへ
第10話 オテル・ド・パリ
第11話 モナコのピット
第12話 F1ドライバーのテクニック
第13話 地中海の真鯛
第14話 アムステルダムの我が家へ
第15話 フランコルシャンの朝
第16話 ホンダF1最初の完走
第17話 クレルモンフェランへの道
第18話 クレルモンフェランの夜空
第19話 ロッテルダムからフェリーでイギリスへ
第20話 お金の計算と文字の数
第21話 ザンドフルト
第22話 ロータスとホンダ
第23話 シャトーブリアンとグレープフルーツ
第24話 コニャックの香り
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